ホームページのリニューアルを考えるとき、多くの方が「全部作り直すもの」だと思っておられます。実際には、そうではありません。
今のホームページには、何年もかけて積み上げてきたものが入っています。ご自身で書いた文章、撮りためた写真、掲載してきた実績。これらは、外から来た制作者には絶対に作れないものです。作り直すたびにゼロに戻していては、いつまでも積み上がりません。
この記事では、「残すべきもの」と「見直すべきもの」を、判断できる形で整理します。リニューアルを頼む前に読んでおくと、打ち合わせで何を伝えればいいかが分かります。
1. まず結論:作り直すのは「見た目と構造」だけでいい
リニューアルで実際に手を入れるべきなのは、次の3つです。
- 見た目(デザイン・配色・文字の大きさ)
- 構造(どのページに何を置くか、どう辿り着けるか)
- 仕組み(スマートフォン対応、表示速度、問い合わせフォーム)
一方で、中身(文章・写真・実績)は、原則そのまま活かします。整えたり並べ替えたりはしますが、捨てません。
「リニューアルしたら、書いてあったことが減った」というのは、よくある失敗です。見た目をすっきりさせるために文章を削ると、検索からの流入も一緒に減ります。
2. 残すべきもの(作り直すと損をするもの)
① ご自身で書いた文章
サービスの説明、仕事へのこだわり、開業のいきさつ。これらに含まれる具体性は、制作者には書けません。
たとえば「丁寧に対応します」は誰でも書けますが、「他社で断られた小さな工事も引き受けています」は、実際にやっている人にしか書けません。後者のような一文が、問い合わせを生みます。
文章が古びていたり、読みにくかったりする場合は、消すのではなく整えます。言っている中身は変えず、順番と改行を直すだけで、かなり読みやすくなります。
② 実績・施工事例・お客様の声
これが、いちばん取り返しがつかない資産です。何年もかけて溜まったものは、新しいサイトでは1件ずつしか増えません。
「古い事例だから」と削りたくなりますが、件数そのものに意味があります。「50件の施工事例がある会社」と「3件しかない会社」では、見る側の安心感がまったく違います。日付が古いものは、日付を目立たせない見せ方にすれば済みます。
③ 自社で撮った写真
店内、施工中の様子、商品、スタッフ。画質が多少悪くても、実物が写っている写真には価値があります。素材サイトの写真に差し替えると、見た目はきれいになりますが、「どこにでもある会社」に見えます。
画質が理由で使えない場合を除いて、まずは活かす方向で考えてください。
④ 検索から人が来ているページ
今のホームページの中に、検索から継続的に人が来ているページがあるかもしれません。それが分かる場合は、URLごと残すのが鉄則です。
URLを変えると、それまでの評価は引き継がれにくくなります。どうしても構成を変える必要がある場合は、古いURLから新しいURLへ自動で転送する設定を必ず入れてもらってください。
⑤ ドメイン(今のURL)
特別な事情がない限り、今のドメインをそのまま使います。名刺、チラシ、看板、Googleの登録情報、他社サイトからのリンク。これらすべてが今のURLを指しています。変えると、そのすべてが繋がらなくなります。
あわせて、ドメイン代を払っているのが誰で、名義が誰になっているかも確認しておいてください。制作者名義のままだと、乗り換えのときに困ります。
3. 見直すべきもの(放置すると損をするもの)
① 料金の書き方がバラバラになっている
複数の担当者が別々の時期に更新していると、こうなりがちです。
- あるページは税別、別のページは税込
- 値上げしたのに、古い金額が残っているページがある
- 「〜円から」と「〜円」が混ざっている
これは、信用に直結します。見た人が「どっちが本当なんだろう」と思った時点で、問い合わせは減ります。リニューアルのタイミングで、全ページの金額を一度洗い出して統一してください。
② 問い合わせの導線が、今の実態と合っていない
次のようなことが起きていないか確認してください。
- FAX番号しか書いていない(今、FAXで問い合わせる人はほとんどいません)
- 使っていないメールアドレスが載っている
- 問い合わせフォームが動いていない(送信しても届いていない)
- スマートフォンで電話番号を押しても、電話がかからない
- LINEを始めたのに、サイトに載っていない
フォームが動いていないのは、思っているより頻繁にあります。サーバーの仕様変更や、迷惑メール対策の影響で、いつのまにか届かなくなっていることがあります。ご自身で一度テスト送信してみてください。
③ スマートフォンでの表示
今、ホームページを見る人の7割前後はスマートフォンです。数年前に作ったサイトだと、次のような状態になっていることがあります。
- 文字が小さくて、拡大しないと読めない
- 横にはみ出して、スクロールしないと全部見えない
- ボタンが小さくて押せない
- 表が崩れている
これは、直せば確実に効果が出る部分です。見に来た人の7割が読みにくい状態でいるのは、単純にもったいない話です。
④ 古くなった情報
次のものが残っていないか、確認してください。
- 終了したキャンペーンのお知らせ
- 退職したスタッフの紹介
- 旧住所・旧電話番号
- 変わった営業時間・定休日
- やめたサービスメニュー
特に「やめたサービス」は要注意です。載っている以上、問い合わせは来ます。そして「もうやっていません」と断ることになります。断られた人は、次はもう来ません。
⑤ 何年も止まっているお知らせ・ブログ
トップページに「新着情報」の欄があり、最新の投稿が3年前。これは、ないほうがましです。「この会社、まだやっているのだろうか」と思われます。
判断はシンプルです。
- これから更新する → 残す
- 更新しない → 欄ごと外す(過去の記事は残したまま、トップから外すこともできます)
正直に言うと、更新できない欄を作らないほうが、長い目で見て得です。
⑥ 表示が遅い
写真をそのままの大きさで載せていると、表示に時間がかかります。表示に3秒以上かかると、見る前に離脱する人が増えます。写真を軽くする作業は、中身を一切変えずに効果が出る、数少ない改善です。
4. 迷ったときの判断基準
「これは残すべきか、消すべきか」で迷ったら、次の2つを順に考えてください。
| 問い | 答えがYesなら | 答えがNoなら |
|---|---|---|
| ① 検索から人が来ているか? | 残す(URLごと) | ②へ |
| ② それを見て、お客様が判断材料にできるか? | 残す(見せ方は変えてよい) | 外す |
この2つで、ほとんどのものは判断できます。「なんとなく古いから」で消さないこと。それがいちばん多い損の作り方です。
5. リニューアルでやりがちな3つの失敗
失敗① 見た目を整えるために、文章を削りすぎる
すっきりしたデザインにしようとすると、文章が邪魔に見えてきます。ですが文章の量が減ると、検索で拾われる言葉も減ります。「読みやすく整える」と「減らす」は別のことです。文章は、たたむ(クリックで開く形にする)こともできます。
失敗② ページ構成を変えて、転送設定を忘れる
ページの数を減らしたり、まとめたりすると、URLが変わります。このとき古いURLから新しいURLへの転送設定を入れないと、それまでの評価が消えます。他社サイトからのリンクも切れます。構成を変えるなら、必ずセットで依頼してください。
失敗③ 「お客様の声」を新しくないからと消す
古い声でも、件数があること自体が信用になります。日付を小さくする、並び順を変えるといった見せ方の工夫で対応できます。消すのは最後の手段です。
6. 相談前に手元にあるとスムーズなもの
完璧に揃える必要はありません。「今あるものを、あるだけ」で十分です。足りないものは、今のホームページから拾い出せます。
あると話が早いもの
- 今のホームページのURL
- 正式な会社名・屋号、住所、電話番号(今の正しいもの)
- 最新の料金表(税込か税別かも)
- ロゴのデータ(なければ、なくても構いません)
- 使ってよい写真(スマートフォンで撮ったものでも構いません)
- 「こういう雰囲気がいい」と思う他社サイトのURL(2〜3件)
- 今のホームページで不満に思っていること(1つでも構いません)
いちばん大事なのは、最後の「不満に思っていること」です。「なんとなく古い」でも構いません。そこが出発点になります。
7. よくある質問
Q. 今のホームページの文章を、そのまま使ってもらえますか?
はい。ラタトスクは、今ある文章と写真をできるだけ活かす方針です。読みやすさのために順番や改行を整えることはありますが、書かれている中身を勝手に削ることはしません。変更する場合は、事前にご確認いただきます。
Q. 文章を書くのが苦手です。お任せできますか?
できます。ただしまったくの白紙からより、今あるものを土台にするほうが良いものになります。今のホームページの文章、パンフレット、お客様によく説明していること。何かしら元になるものがあれば、そこから整えます。
Q. ページ数はどのくらい残せますか?
内容によります。ただし「ページ数を減らすこと」自体を目的にしないほうがいいとお伝えしています。中身のあるページは、あるだけ有利です。整理するのは、内容が重複しているページや、役目を終えたページです。
Q. リニューアルすると、検索順位は上がりますか?
「必ず上がる」とは言えません。正直なところ、リニューアル直後は一時的に順位が動くこともあります。ただし、スマートフォンでの見やすさ、表示速度、ページの構造を整えることは、長い目で見ればプラスに働きます。短期で順位を保証する話ではない、とご理解ください。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
ラタトスクの場合、リニューアルも新規制作と同じ料金です。初期制作費0円+月額¥5,000(税込)、または買い切り¥50,000(税込)。今のURLをそのまま使う切り替え作業も、通常の範囲であれば追加料金はいただきません。
まとめ
- リニューアルで作り直すのは「見た目・構造・仕組み」。中身は活かす
- 残すもの:ご自身の文章/実績・お客様の声/自社の写真/検索から人が来ているページ/ドメイン
- 見直すもの:料金表記の食い違い/問い合わせ導線/スマホ表示/古い情報/止まったお知らせ/表示速度
- 迷ったら、「検索から人が来ているか」→「お客様の判断材料になるか」の順に考える
- 失敗しやすいのは、文章の削りすぎ・転送設定の漏れ・お客様の声の削除
「全部作り直したほうがいいのか、今のものを活かせるのか」は、今のホームページを拝見すればお答えできます。作り直す必要がない、という結論になることもあります。まずは現状をお聞かせください。