ここ1〜2年で、「LLMO対策をしませんか」という営業を受けた方がいらっしゃるかもしれません。「これからはSEOではなくLLMOです」「今のうちにやらないと出遅れます」といった言い方をされることもあります。
結論から正直に書きます。LLMOは、実在する考え方です。ただし「新しい特別な技術」ではありません。やることの8割は、これまでのSEOと同じです。そして効果を確かめる手段が、今のところほとんどありません。
この記事では、LLMOとは何かという定義から、SEOとの違い、お金を払う価値があるのかどうかの判断基準まで、売り込みにならない範囲で正直に整理します。
1. LLMOとは何か(定義)
LLMOは「Large Language Model Optimization」の略で、日本語にすると「大規模言語モデル最適化」です。
もう少しかみ砕くと、こうなります。
ChatGPTのようなAIに質問したとき、その答えの中で自社が触れられたり、情報源として挙げられたりしやすくすること。
これまでの検索は、Googleに言葉を入れて、出てきたリンクを自分でクリックしていました。ところが最近は、AIが答えそのものを文章で返してくる場面が増えました。
- ChatGPTに「福岡でホームページを安く作るには」と聞く
- Googleで検索すると、検索結果の一番上にAIの要約が出る
- スマートフォンの音声アシスタントが、答えだけを読み上げる
このとき、AIが参照する側に入っていなければ、そもそも候補にすら挙がりません。そこに入るための考え方が、LLMOです。
呼び名が乱立しています
ここで混乱しやすいのですが、同じことを指す言葉が、いくつも使われています。
| 呼び名 | 正式名称 | 指しているもの |
|---|---|---|
| LLMO | Large Language Model Optimization | ほぼ同じ。「AIに拾われやすくすること」 |
| GEO | Generative Engine Optimization | |
| AEO | Answer Engine Optimization | |
| AIO | AI Optimization |
用語が固まっていない、ということ自体が重要な情報です。業界の中でも呼び方が定まっていない、まだ新しい分野だということです。「LLMOという確立された技術体系がある」わけではありません。
2. SEOと何が違うのか
いちばん知りたいのはここだと思います。表で整理します。
| これまでのSEO | LLMO | |
|---|---|---|
| 相手 | 検索エンジン | AI(言語モデル) |
| 目指す状態 | 検索結果の上位に出る | AIの答えの中で触れられる |
| 結果の見え方 | 順位という数字がある | 順位という概念がない |
| 成果の測り方 | Search Consoleなどで測れる | ほぼ測れない |
| 再現性 | 同じ検索なら、だいたい同じ結果 | 聞くたびに答えが変わる |
| やること | タイトル・見出し・中身の充実 | ほぼ同じ(+定義を明確に、表で書く) |
この表でお伝えしたいのは、いちばん下の行です。やることは、ほとんど同じです。
違いは「書き方の細かい癖」くらいです
あえて違いを挙げるなら、次のような点です。
- 答えを先に書く ── 前置きが長いと、AIは要点を取り出しにくくなります
- 言葉の意味をはっきり書く ── 「◯◯とは、△△のことです」という書き方をする
- 料金や比較は表にする ── 文章より、表のほうが正確に読み取られます
- 見出しを質問の形にする ── 人が実際に聞く言葉に近づける
- 誰が書いているかを示す ── 出どころが不明な情報は、引用されにくくなります
お気づきかもしれませんが、これは全部「人にとっても読みやすい書き方」です。AI向けの特殊な小細工ではありません。結局のところ、人に分かりやすく書いてあるページが、AIにも分かりやすいというだけの話です。
具体的な書き方は、別の記事で詳しく書いています。→ AI検索時代のSEO|引用されるサイトの5つの条件
3. LLMOの最大の弱点:効果が測れません
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
SEOには「順位」という数字があります。上がったか下がったかが分かります。ところがLLMOには、それに相当するものがありません。理由は3つです。
① 聞くたびに答えが変わる
同じ質問をAIに2回しても、まったく同じ答えは返ってきません。1回目に自社の名前が出て、2回目には出ないということが普通に起こります。これでは「効果が出た」と判断できません。
② 人によって答えが違う
AIは、質問した人の過去のやりとりや設定によって答えを変えます。ご自身のアカウントで自社の名前が出たとしても、他の人にも出るとは限りません。「うちの名前が出ました」という業者の報告は、その業者の画面での話でしかない可能性があります。
③ 何回表示されたか分からない
検索なら「何回表示されて、何回クリックされたか」が分かります。AIの答えの中で触れられた回数を数える手段は、今のところありません。
つまり、LLMOには「やった結果、どうなったか」を確かめる方法が、ほぼありません。これは、お金を払う判断をするうえで、決定的に不利な条件です。
4. 「LLMO対策」の売り込みに気をつけてください
効果が測れない分野は、売り込みに使われやすいという性質があります。「やりました」と言われても、依頼した側は確かめようがないからです。
警戒したほうがいい言い方
- 「AIに必ず引用されるようにします」 ── 保証できる仕組みではありません
- 「今やらないと出遅れます」 ── 急がせる言い方は、判断させないための手法です
- 「LLMOはSEOとはまったく別の技術です」 ── 8割は同じです
- 「AI専用の特別なタグを埋め込みます」 ── AI向けの特別なタグというものは、一般には存在しません
- 「弊社独自のアルゴリズム解析で」 ── AIの中身は公開されていません
金額の目安について
正直に書きます。「LLMO対策」として数十万円を請求される例があります。ですが、実際に行われている作業の中身は、ページの構成を整える・見出しを直す・表を作る・FAQを足すといった、通常のサイト改善とほぼ同じです。
もし提案を受けたら、次の質問をしてみてください。
LLMO対策を提案されたときの質問
- 具体的に、どのページに何をするのか教えてください
- それは、通常のSEO対策と何が違うのですか
- 効果は、どうやって確認できるのですか
- その確認方法は、私が自分で見られるものですか
- 効果が出なかった場合、どうなりますか
3つ目と4つ目に、はっきり答えられない相手には頼まないでください。誠実な相手なら、「完全には測れません」と正直に言うはずです。そう言われたほうが、むしろ信用できます。
5. 自社に必要かどうかを判断する
すべての事業に効くわけではありません。効きやすい業種と、そうでない業種があります。
| 効きやすい | 効きにくい | |
|---|---|---|
| 検討のしかた | じっくり比べてから決める (顧問契約、設備、リフォーム、法人向けサービス) |
その場ですぐ決める (飲食、コンビニ、急ぎの修理) |
| お客様の探し方 | 「どう選べばいいか分からない」から調べる | 地図で近い店を探す |
| 質問の形 | 「◯◯と△△、どっちがいい?」 「◯◯の費用相場は?」 |
「近くの◯◯」 |
地域密着で、その場で来店してもらう商売なら、LLMOより先にやることがあります。Googleビジネスプロフィールへの登録です。無料で、地図に出るようになり、効果もはっきり見えます。順番を間違えないでください。
6. お金をかけずに、今日できること
まずは今の状態を自分の目で確かめてください。無料でできます。
① AIに、自社について聞いてみる
ChatGPTなどのAIに、次のように聞いてみてください。
- 「(自社名)について教えてください」
- 「(地域名)で(業種)を探しています。どこがありますか」
- 「(自社のサービス名)の相場を教えてください」
ここで名前が出るか、内容が正しいかを見てください。間違った情報が答えられている場合もあります。それが分かるだけでも収穫です。
② 自社サイトに「答え」が書いてあるか確認する
次の項目が、はっきり書かれているか見てください。書いていないことは、AIにも人にも伝わりません。
AIにも人にも伝わるために、書いてあるべきこと
- 何をする事業か(一文で言い切る)
- 誰向けか(対象となるお客様)
- 料金(「お問い合わせください」で終わっていないか)
- 対応できる地域
- できないこと・対象外(これがあると、かなり信頼されます)
- 事業者の情報(誰がやっているか)
- 問い合わせ方法
- よくある質問と、その答え
ここが埋まっていれば、LLMOの大部分は済んでいます。そして同時に、これは人が見たときにも必要な情報です。だから、無駄になりません。ここがLLMOの唯一にして最大の利点だと考えています。
③ その上で、まだ足りないと感じたら
具体的な書き方の工夫は、AI検索時代のSEOにまとめています。お金をかける前に、まず無料でできる範囲をやり切ってください。
7. 結論:どう向き合うか
ラタトスクとしての考えを、はっきり書きます。
- LLMOは、無視するものではありません。検索の入口が変わりつつあるのは事実です
- ただし、特別な出費をするものでもありません。やることの8割は、まともなサイトを作れば自然に満たされます
- 効果は測れません。測れると言う相手は疑ってください
- 順番として、SEOの基本とGoogleビジネスプロフィールが先です
- やって損はしません。人にとっても読みやすくなるからです。ここだけは確実です
「LLMO対策」という名目で追加料金をいただくことは、ラタトスクではしていません。ページの構成を整える、定義をはっきり書く、料金を表にする、FAQを載せる。これらは通常の制作に含まれるべきものだと考えているからです。
8. よくある質問
Q. SEOはもう終わりで、これからはLLMOですか?
いいえ。今のところ、検索から来る人のほうが圧倒的に多いです。AIの利用は増えていますが、検索がなくなったわけではありません。SEOをやめてLLMOに切り替える、という判断は時期尚早です。両方の土台になるのは、同じ「中身のあるページ」です。
Q. AIに間違った情報を答えられています。修正できますか?
直接AIを修正することはできません。できるのは、正しい情報を自社サイトにはっきり書いておくことだけです。時間はかかりますが、それ以外に手はありません。特に、古い住所や旧社名がネット上に残っている場合は、自社サイトで最新情報を明確にしてください。
Q. AIに読み込ませない、という選択もできますか?
技術的には、AIの読み取りを拒否する設定を入れることはできます。ただし拒否すれば、AIの答えに出てくることもなくなります。情報を守りたい特別な理由がなければ、通常は拒否しないほうが得です。
Q. ブログ記事を増やせばLLMOに効きますか?
数を増やすだけでは効きません。むしろ中身の薄い記事が増えると、サイト全体の評価が下がります。効くのは「実際に聞かれる質問に、はっきり答えている記事」です。1本の的確な記事のほうが、10本の薄い記事より効きます。
Q. ラタトスクはLLMO対策をしてくれますか?
「LLMO対策」という別料金のメニューはありません。ページ構成を整える、定義を明確に書く、料金を表にする、FAQを構造化して載せる、といった作業は通常の制作に標準で含めています。初期制作費¥0+月額¥5,000(税込)、または買い切り¥50,000(税込)の範囲です。効果を保証することはできませんが、やっておいて損のない範囲は標準で行う、という考え方です。
Q. 今のサイトがAIから見てどうなのか、確認できますか?
無料のサイト診断をご用意しています。今のページがAIや検索エンジンから見て、必要な情報が揃っているかを確認できます。ご自身で試していただけます。
まとめ
- LLMO=AIの答えの中で、自社が触れられやすくすること。GEO・AEO・AIOもほぼ同じ意味
- 呼び名が乱立している=まだ確立された技術体系ではない
- SEOとの違いは書き方の癖くらい。やることの8割は同じ
- 最大の弱点は効果が測れないこと(答えは毎回変わり、人によっても違う)
- 「必ず引用されます」「今やらないと出遅れます」は警戒する
- 地域密着の来店型なら、Googleビジネスプロフィールが先
- やることは人にとっても読みやすい書き方。だから無駄にはならない
新しい言葉が出てくると、それだけで焦らされます。ですがやるべきことは、これまでとほとんど変わりません。自分の事業について、聞かれたことにはっきり答える。それが書いてあるページを持つ。結局、そこに戻ってきます。