お問い合わせフォームは、ホームページの中でいちばん地味で、いちばん重要な部品です。ここが動いていなければ、どれだけ人が来ても意味がありません。
そして厄介なことに、フォームの不具合は気づきにくいという性質があります。届いていないことに気づけるのは、たいてい「そういえば最近まったく問い合わせが来ないな」と思ったときです。その間に来ていたはずの連絡は、戻ってきません。
この記事では、フォームを作る前に決めておくべき3つのことを説明します。どれも、後から変えると手戻りになる部分です。
1. 決めること①:どのメールアドレスで受け取るか
いちばん最初に決めることであり、いちばん間違えやすいところです。
「普段から見ているアドレス」にする
当たり前に思えますが、実際にはこうなりがちです。
- ホームページ用に新しく作ったアドレスを設定 → 誰も見ていない
- 会社の代表アドレスにした → 他のメールに埋もれる
- 前の担当者のアドレスのまま → 退職して誰も開けない
スマートフォンで通知が届くアドレスにしてください。問い合わせは、早く返信するほど成約率が上がります。翌日の返信と、1時間後の返信では結果が変わります。
屋号のアドレスか、フリーメールか
正直に整理します。
| 良いところ | 弱いところ | |
|---|---|---|
| 独自ドメインのアドレス ( info@自社ドメイン) |
信用されやすい サイトと統一感がある |
設定が必要 受信環境を用意する手間 |
| フリーメール (Gmailなど) |
すぐ使える 迷惑メール判定が優秀 スマホで確実に通知が来る |
見た目の信用度は劣る |
おすすめは「独自ドメインのアドレスを、普段使っているメールソフトで受け取る」形です。ただし、それが難しい場合はフリーメールでも構いません。見た目より、確実に届いて確実に気づけることのほうが大事です。
複数人で受け取りたい場合
「自分と、事務の担当者の2人で受けたい」というご要望はよくあります。方法は2つです。
- フォームの送信先を2つ設定する ── 単純ですが、どちらが返信したか分かりにくくなります
- 1つのアドレスで受けて、そこから転送する ── 管理しやすいですが、転送先の設定が必要です
どちらでも構いませんが、「誰が返信するか」だけは先に決めておいてください。「相手が返すと思っていた」で放置されるのが、最悪のパターンです。
【重要】届かなくなることがあります
設定したときは届いていたのに、あるときから届かなくなる。これは実際に起こります。原因は主に3つです。
- 迷惑メールと判定される ── フォームからのメールは、自動送信のため迷惑メール扱いされやすい性質があります
- メールボックスの容量がいっぱい ── 古いレンタルサーバーのメールでよくあります
- サーバーやサービスの仕様変更
対策として、3か月に一度、ご自身でテスト送信することをおすすめします。1分で終わります。これをやっているかどうかで、機会損失がまったく違います。
2. 決めること②:何を聞くか(項目と個人情報)
項目は少ないほど、送信されます
フォームの入力欄が増えるほど、途中でやめる人が増えます。「あとで聞けばいいこと」は、フォームで聞かないでください。
最低限で成立するのは、次の3つです。
- お名前
- 連絡先(メールアドレス、または電話番号)
- お問い合わせ内容
これで十分です。業種によって、ここに1〜2項目足す程度に留めるのがおすすめです。
「必須」にする項目を絞る
入力欄を置くこと自体は構いません。問題は「必須」にすることです。必須が多いと、埋められない人はそこで諦めます。
必須にしていいのは、返信に絶対必要なものだけです。ふつうは「連絡先」と「内容」の2つで足ります。
個人情報は「必要なものだけ」聞く
ここは注意が必要です。集めた情報は、管理する責任が発生します。「あとで役立つかもしれない」で住所や生年月日を聞くのは、リスクを増やすだけです。
次の基準で判断してください。
| 項目 | 判断 |
|---|---|
| お名前・連絡先 | 返信に必要。聞く |
| 住所 | 訪問・郵送が前提のサービスなら聞く。そうでなければ不要 |
| 生年月日 | 年齢制限があるサービス以外は不要 |
| 会社名 | 法人向けなら聞く。任意でよい |
| 性別 | サービス上必要な場合を除き不要 |
個人情報を受け取る以上、プライバシーポリシー(個人情報の扱いを書いたページ)が必要です。フォームの近くに、そのページへのリンクを置いてください。これは「あったほうがいい」ではなく、事業として当然求められるものです。
受け取った内容を、どこに置くか
意外と意識されていませんが、フォームの送信内容がどこに保存されるのかは確認しておくべきです。
- メールで受け取るだけ(サイト側には残さない)── 管理する対象が減るので、安全側です
- サイト側のデータベースにも保存する ── 一覧で見られて便利ですが、守るべきものが1つ増えます
ラタトスクでは、フォームの内容をサイト側に保存せず、メールでお届けする形を標準にしています。管理する場所が少ないほうが、事故は起きにくいという考え方です。
3. 決めること③:送信したあと、どうなるか
送信ボタンを押したあとの流れも、先に決めておく必要があります。
確認画面を挟むか
| 向いている場合 | |
|---|---|
| 確認画面あり | 入力項目が多い/間違いが致命的(見積もり依頼など) |
| 確認画面なし | 項目が3〜4個/早く送ってもらいたい |
項目が少ないなら、確認画面はないほうが送信率は上がります。手数が1つ減るからです。
自動返信メールを出すか →「出す」を強くおすすめします
送信した人は、「本当に届いたのだろうか」と不安になります。自動返信が届けば、その不安が消えます。
自動返信に書いておくとよいのは、次の3つです。
- 受け付けた旨
- いつまでに返信するかの目安(例:2営業日以内)
- 送信された内容の控え
特に「いつまでに返信するか」を書いておくと、催促の連絡が減ります。書いた以上は守る必要がありますが、無理のない日数(2〜3営業日)にしておけば問題ありません。
送信完了ページを用意する
送信後に表示される専用のページです。「ありがとうございました」と表示するだけでなく、「何件の問い合わせがあったか」を数えるためにも必要になります。あとから測りたくなったときに、なければ測れません。
4. スパム対策を決めておかないと、業務が止まります
フォームを公開すると、機械による自動送信(スパム)が必ず来ます。放っておくと、1日に何十件も届き、本物の問い合わせが埋もれます。
対策の種類と、それぞれの副作用
| 対策 | 効果 | 副作用 |
|---|---|---|
| 画像認証 (信号機を選ぶあれ) |
高い | 離脱が増えます。特にスマートフォンで面倒。高齢の方には厳しい |
| 見えない罠を仕込む (人には見えない入力欄を置き、埋めたら機械と判定) |
中〜高 | ほぼなし。人には何も見えません |
| 滞在時間で判定 (開いて数秒で送信されたら機械と判定) |
中 | ほぼなし |
| 連続送信の制限 | 中 | ほぼなし |
いきなり画像認証を入れるのは、おすすめしません。スパムは減りますが、本物の問い合わせも一緒に減ります。副作用のない対策を先に入れて、それでも足りなければ画像認証を検討するという順番が現実的です。
ラタトスクのフォームは、見えない罠・滞在時間の判定・連続送信の制限・入力文字数の下限を組み合わせています。画像認証は使っていません。
5. 決めておかないと、こうなります
実際によくある失敗を挙げておきます。どれも「フォームを作る前に決めていれば防げた」ものです。
- 誰も見ていないアドレスに設定され、半年分の問い合わせに気づかなかった
- 自動返信がなく、送信者が「届いていない」と思って他社に依頼した
- 入力項目を10個にしたら、送信数が目に見えて減った
- スパム対策がなく、本物の問い合わせが迷惑メールに埋もれた
- プライバシーポリシーがないまま個人情報を集めていた
- 完了ページを作らなかったため、あとから件数を測れなかった
6. 作る前チェックリスト
フォームを作る前に決めること
- 受け取るメールアドレスは、普段見ているものか
- スマートフォンで通知が届くか
- 複数人で受ける場合、誰が返信するか決まっているか
- 入力項目は3〜5個に収まっているか
- 必須項目は、返信に必要なものだけか
- 本当に必要のない個人情報を聞いていないか
- プライバシーポリシーのページがあり、フォームから辿れるか
- 自動返信メールを出すか決めたか(推奨:出す)
- 自動返信に返信の目安日数を書いたか
- 送信完了ページを用意したか
- スパム対策が入っているか
- 公開後、自分でテスト送信したか
7. よくある質問
Q. フォームと電話番号、どちらを目立たせるべきですか?
両方載せてください。電話が得意な人と、電話が苦手な人がいます。どちらか一方だけにすると、その半分を取りこぼします。「営業時間内は電話、時間外はフォーム」という案内があると親切です。
Q. LINEでの問い合わせも受けたいのですが
可能です。フォームより気軽に送ってもらえるという利点があります。ただし、返信の速さを期待されやすい点は理解しておいてください。フォーム・電話・LINEの3つを並べる場合は、それぞれの返信目安を書いておくと、あとが楽です。
Q. 問い合わせが来ません。フォームが壊れているのでしょうか?
まずご自身でテスト送信してください。1分で確かめられます。届くなら、フォームは正常です。その場合の原因は、そもそもホームページを見た人が少ないか、フォームまで辿り着けていないか、フォームの手前で判断できる情報が足りていないか、のいずれかです。
Q. 途中まで入力してやめる人が多いようです
入力項目を減らすのがいちばん効きます。必須項目を2つに絞るだけで変わることがあります。また、フォームの手前に「しつこい営業はしません」「相談だけでも構いません」といった一文を置くと、心理的な抵抗が下がります。
Q. ラタトスクのフォームはどうなっていますか?
お問い合わせフォームは標準で実装しており、追加料金はいただきません。送信内容はサイト側に保存せず、メールでお届けする形です。スパム対策(見えない罠・滞在時間の判定・連続送信の制限・入力文字数の下限)を組み込み、画像認証は使っていません。自動返信と送信完了ページもご用意します。
まとめ
- ①どのアドレスで受けるか ── 普段見ている、スマホで通知が届くもの。誰が返信するかも決める
- ②何を聞くか ── 項目は少ないほど送信される。必須は返信に必要なものだけ。不要な個人情報は集めない
- ③送信後どうなるか ── 自動返信は出す。返信の目安日数を書く。完了ページを用意する
- スパム対策は必須。ただし画像認証から入らない(本物の問い合わせも減ります)
- 個人情報を受け取る以上、プライバシーポリシーは必要
- 公開後も3か月に一度、自分でテスト送信する
フォームは「作って終わり」の部品ではありません。動き続けているかを確かめる仕組みまで含めて、はじめて役に立ちます。