ホームページが完成して公開されると、ほっとして、そのまま日々の仕事に戻ってしまいがちです。
ところが、困るのは数年後です。制作会社を変えたくなったとき、担当者と連絡が取れなくなったとき、サイトの一部を自分で直したくなったときに、「必要な情報が手元に何もない」ことに気づきます。
この記事では、納品のときに受け取っておくものを6つに分けて説明します。最後に、そのまま使える確認リストを載せています。
1. なぜ納品時に確認しておくのか
納品のときは、制作会社との関係がいちばん良い時期です。頼めばすぐに出してもらえるものも、数年たつと手に入りにくくなります。担当者が辞めていたり、会社がなくなっていたりすることもあります。
もう一つの理由は、「自分のものだと思っていたものが、実は制作会社の名義だった」という行き違いを、早めに見つけられることです。名義は、あとから変えるほど手間がかかります。
2. 受け取るもの①:ドメインとサーバーの情報
ドメイン(〇〇.com のようなサイトの住所)とサーバー(サイトを置いておく場所)は、ホームページが表示されるための土台です。ここを押さえていないと、制作会社を変えるときにサイトの住所ごと失うことがあります。
| 確認すること | なぜ必要か |
|---|---|
| 誰の名義で登録されているか | 名義の人が、そのドメイン・サーバーの持ち主です |
| どこの会社と契約しているか | ドメインとサーバーは、別々の会社と契約していることがあります |
| 管理画面に入る方法 | ログインできる人がいないと、何も変更できません |
| 更新日と費用、支払い方法 | 更新を忘れると、サイトもメールも止まります |
名義をどうするかは、契約の形によって考え方が変わります。詳しくはドメイン・サーバーは誰の名義にすべきかで解説しています。
3. 受け取るもの②:管理画面に入るための権限
WordPressなどで作ったサイトなら、管理画面に入るためのアカウントが必要です。
- 自分専用のアカウントを発行してもらう:制作会社のアカウントを借りるのではなく、自分の名前のアカウントを作ってもらってください
- 権限の強さを確認する:「管理者」の権限があれば、必要なときに別の制作会社を招き入れることができます
- 制作会社のアカウントをどうするか決める:納品後の不具合対応の期間は残し、終わったら削除するのが一般的です
制作会社のアカウントを削除するときは、そのアカウントで書いた記事やページが消えないように、別のアカウントに引き継いでから削除します。手順はWordPressの管理者ユーザーを制作会社に渡す手順で説明しています。
4. 受け取るもの③:サイトのデータとバックアップ
サイトを別の制作会社に引き継ぐときや、万一サイトが壊れたときに必要になるのが、サイトのデータ一式です。
- データを受け取れる契約か:契約によっては、サイトの権利が制作会社にあり、データを渡してもらえないことがあります。契約書で確認してください
- バックアップは誰が、どこに取っているか:「取っているはず」ではなく、どこにあって、どうやって戻すのかまで確認します
- 受け取ったデータを、別の場所にも保存する:制作会社のサーバーにしかないデータは、制作会社がいなくなると一緒に失われます
5. 受け取るもの④:写真・文章などの素材と、使ってよい範囲
見落としやすいのが、写真やイラストを使ってよい範囲です。
| 素材 | 確認すること |
|---|---|
| 自分で用意した写真・文章 | 元のデータが手元にあるか。制作会社が加工したものも受け取れるか |
| 制作会社が撮影・作成したもの | 権利がどちらにあるか。別の会社でサイトを作り直しても使えるか |
| 素材サイトの写真・イラスト | 誰の名義で購入したものか。制作会社の名義のライセンスだと、引き継げないことがあります |
| フォント(文字のデザイン) | 有料のフォントの場合、ライセンスが制作会社にあるかどうか |
「サイトで使っているから、ずっと使えるはず」とは限りません。作り直すときに同じ素材が使えるかを、一言確認しておくと安心です。
6. 受け取るもの⑤:外部サービスのアカウント
ホームページのまわりには、いくつかの外部サービスがつながっています。
- Googleアナリティクス(アクセス数を見るサービス)
- Google Search Console(検索での表示状況を見るサービス)
- Googleビジネスプロフィール(Googleマップに出るお店の情報)
- お問い合わせフォームのサービス、予約システム、Instagram との連携など
これらが制作会社のアカウントで作られていると、データを引き継げないことがあります。自分のGoogleアカウントを持ち主にして、制作会社には「使う権限」だけを渡してもらう形が理想です。
7. 受け取るもの⑥:更新の手順と、困ったときの連絡先
- 自分でできる更新の範囲と手順:お知らせの追加、写真の差し替えなど。画面の写真つきの手順書があると、担当者が変わっても困りません
- 不具合があったときの連絡先と対応期間:公開後いつまで無料で直してもらえるか
- 保守契約の有無と、含まれる範囲:何を頼むと追加料金になるか
8. 納品時の確認リスト
納品時に確認すること
- ドメインの名義・契約先・更新日・費用を知っている
- サーバーの名義・契約先・更新日・費用を知っている
- ドメインとサーバーの管理画面に入る方法を知っている(または誰が入れるか分かっている)
- サイトの管理画面に、自分専用のアカウントで入れる
- 制作会社のアカウントをいつ削除するか決めた
- サイトの権利とデータがどちらにあるか、契約書で確認した
- バックアップの場所と戻し方を知っている
- 写真・イラスト・フォントの使ってよい範囲を確認した
- Googleアナリティクスなどの外部サービスが自分のアカウントになっている
- 更新の手順書と、困ったときの連絡先・対応期間を受け取った
9. よくある質問
Q. 全部そろっていないと、問題ですか?
すぐに問題になるわけではありません。大切なのは、「どこに何があるか」を知っていることです。たとえば、ドメインが制作会社の名義でも、それが契約の内容どおりで、移すときの条件が分かっていれば困りません。
Q. 聞きにくいのですが、どう聞けばよいですか?
「万一のときに困らないよう、控えを手元に置いておきたい」と伝えれば十分です。きちんとした制作会社なら、嫌がることはありません。むしろ、情報の出し渋りがあるときは、理由を確認したほうが安全です。
Q. パスワードは、制作会社から全部教えてもらうべきですか?
パスワードそのものを聞くより、自分専用のアカウントを作ってもらい、自分でパスワードを決めるほうが安全です。受け取ったパスワードは、メールに残したままにせず、パスワード管理のアプリなどに保管してください。
Q. ラタトスクでは、納品時に何を受け取れますか?
プランによって違います。買い切りプラン(¥50,000)は、お支払い完了後にサイトの権利と制作データがお客様のものになり、データもお渡しします。月額プラン(サブスク)は、サイトの著作権が当方にあり、契約期間中ご利用いただく形です。解約するときは公開を停止するか、事前にお見積もりのうえで権利と制作データを移すかを選べます。当方がご用意した独自ドメインは当方の名義、ご自身で取得されたドメインとお客様がご用意した素材は、どちらのプランでもお客様のものです。詳しくはサービス詳細ガイドに書いています。
まとめ
- 困るのは制作会社を変えるとき、連絡が取れなくなったとき。その備えを納品時にしておく
- ドメイン・サーバーは名義・契約先・更新日を確認する
- 管理画面は自分専用のアカウントで入れるようにする
- サイトの権利とデータがどちらにあるかを、契約書で確かめる
- 写真・イラスト・フォントは作り直しても使えるかを確認する
- Googleのサービスなどは自分のアカウントにしておく
納品は、ホームページの「終わり」ではなく「持ち主が変わる日」です。自分のサイトとして扱えるだけの情報を、その日のうちに受け取っておいてください。