ホームページを公開してしばらくすると、お問い合わせフォームから意味の分からない英語のメールや、怪しいリンクだけのメールが毎日届くようになることがあります。
「ホームページを持つと、こういうものは受け入れるしかないのだろうか」と相談を受けることがありますが、答えは「ゼロにはできないが、ほとんどは減らせる」です。
ただし、対策には順番があります。強すぎる対策を先に入れると、迷惑メールと一緒に本物の問い合わせまで止めてしまうことがあるためです。この記事では、見分け方から、副作用の少ない対策の順番、対策後の確認までを説明します。
1. 結論:ゼロにはできないが、ほとんどは減らせます
フォームやメールアドレスは、インターネット上に公開した時点で、機械(プログラム)に自動で見つけられます。サイトの規模や知名度は関係ありません。公開したばかりの小さなサイトにも届きます。
完全に防ぐ方法はありませんが、機械が自動で送ってくるものの多くは、いくつかの対策を組み合わせるだけで目に見えて減ります。「毎日10件」が「月に数件」になる、というのが現実的な目標です。
2. まず、どこから届いているかを見分ける
対策を考える前に、迷惑メールがどこから届いているかを見分けてください。ここを取り違えると、フォームにどれだけ対策を入れても減りません。
| 見分けるところ | フォーム経由 | アドレスに直接 |
|---|---|---|
| 本文の形 | 「お名前:」「内容:」など、フォームの項目名が並んでいる | 普通のメールの形 |
| 差出人 | サイトのアドレスや、フォームのサービスの名前になっていることが多い | 知らない人・知らない会社のアドレス |
| 届く理由 | 機械がフォームに自動で入力して送信している | サイトに書いてあるメールアドレスが機械に集められている |
| 効く対策 | フォーム側の対策(3章) | メールソフト側の対策とアドレスの見せ方(4章) |
両方が混ざっていることもよくあります。届いたメールを数件並べて、どちらが多いかを見るだけで、次にやることが決まります。
3. フォーム経由の迷惑メールを減らす方法
フォームの対策は、副作用の少ないものから順に入れるのが基本です。
| 順番 | 対策 | 仕組み | 副作用 |
|---|---|---|---|
| 1 | 見えない入力欄(ハニーポット) | 人には見えない入力欄を置き、そこに入力があれば機械と判定して捨てる | ほぼなし |
| 2 | 入力内容のルール | 本文が極端に短い、日本語が1文字もない、リンクだらけ、といった送信を受け付けない | 少ない(海外のお客様がいる場合は注意) |
| 3 | 自動判定サービス | Googleの reCAPTCHA などが、送信者の動きから機械かどうかを裏側で判定する | まれに本物の人が弾かれる。外部サービスへの送信が発生する |
| 4 | 画像認証 | 「信号機の画像を選んでください」などの操作を求める | 大きい。スマホでは面倒で、途中でやめる人が出る |
画像認証から入るのはおすすめしません。迷惑メールは確実に減りますが、本物の問い合わせも減ります。1〜3で足りることがほとんどです。
WordPressの Contact Form 7 を使っている場合
WordPressでよく使われるフォームのプラグイン「Contact Form 7」には、迷惑メール対策についての公式の解説があり、reCAPTCHA との連携や、特定の言葉を含む送信を止める設定などが案内されています。見えない入力欄は、別のプラグインを追加して入れるのが一般的です。
プラグインの追加や設定の変更は、サイトの表示やフォームそのものに影響することがあります。ご自身で触る場合は、先にバックアップを取るか、サイトを作った会社に相談してから行ってください。
4. 直接届く迷惑メールを減らす方法
サイトにメールアドレスをそのまま書いていると、機械に集められて、フォームとは関係なく迷惑メールが届き続けます。
- サイトにはアドレスを書かず、フォームに一本化する:いちばん効きます。ただし、すでに集められたアドレスには届き続けます
- アドレスを画像や「@」の全角表記にする:機械に読み取られにくくなりますが、お客様がコピーできなくなる不便さがあります
- メールソフトの迷惑メールフィルタを使う:Gmailなどは、自動で迷惑メールフォルダに振り分けてくれます。差出人を指定して「迷惑メール」として報告すると、精度が上がります
特定商取引法の表記など、法律上アドレスの記載が必要なページもあります。その場合は、アドレスを消すのではなく、メールソフト側の振り分けで対応してください。
5. 人が手で送ってくる営業メールは別物です
「ホームページ制作のご提案」「SEO対策のご案内」といった営業のメールは、人が手でフォームに入力して送っていることが多く、機械向けの対策ではほとんど防げません。
これは技術ではなく、運用で対応します。
- フォームの近くに「営業・勧誘のご連絡はお断りしています」と一文書いておく(ゼロにはなりませんが、減ります)
- 返信はしない。返信すると「このアドレスは読まれている」と伝わり、増えることがあります
- 同じ会社から何度も来るなら、メールソフトで差出人ごと振り分ける
6. 対策のあとに、必ず受信テストをする
ここがいちばん大切です。対策を入れたら、自分でフォームから送信して、きちんと届くかを確かめてください。
迷惑メール対策は、強くするほど本物の問い合わせまで止めてしまう危険があります。しかも、止まっていることには誰も気づきません。「最近、問い合わせが来ないな」と思ったときには、何か月分も失っていることがあります。
対策後の受信テスト
- パソコンとスマートフォンの両方から送信してみる
- 普段のお客様が書きそうな、短めの日本語の文章で送ってみる
- 受信箱だけでなく、迷惑メールフォルダも確認する
- 自動返信メールを出している場合は、それも届くか確認する
- その後も3か月に1回、同じテストをする
7. やってはいけないこと
- 迷惑メールの中のリンクを開く・添付ファイルを開く:ウイルスや詐欺サイトにつながっていることがあります
- 「配信停止はこちら」に返信する:アドレスが使われていると知らせることになります
- 困ったからといってフォームを外す:迷惑メールは止まりますが、お客様からの連絡も止まります
- 対策を入れて、確認しないまま放置する:6章のテストをしないと、本物の問い合わせが止まっていても気づけません
8. よくある質問
Q. 公開したばかりの小さなサイトなのに、なぜ届くのですか?
機械が、インターネット上のフォームを自動で探して回っているためです。サイトの規模や知名度とは関係なく届きます。サイトに問題があるわけではありません。
Q. 迷惑メールが届くのは、サイトがハッキングされたからですか?
多くの場合、違います。フォームやアドレスが公開されているから届いているだけです。ただし、サイトの見た目が勝手に変わった、知らないページが増えた、といった変化があれば別の問題なので、制作会社に確認してください。
Q. 対策は自分でできますか?
メールソフトの振り分けや、フォームの近くに一文を書き足すことは、ご自身でもできます。フォームの仕組みに手を入れる対策は、サイトの作りによって方法が違うため、作った会社に相談するのが安全です。
Q. ラタトスクのフォームはどうなっていますか?
ラタトスクが作るホームページでは、お問い合わせフォームを標準で実装しており、見えない入力欄・滞在時間の判定・連続送信の制限・入力文字数の下限を組み合わせています。画像認証は使っていません。公開前には、実際に送信して届くことを確認します。
まとめ
- 迷惑メールはゼロにはできないが、ほとんどは減らせる
- 最初にフォーム経由か、アドレスに直接かを見分ける
- フォームの対策は副作用の少ないものから。画像認証は最後
- 人が手で送る営業メールは、一文を書き添えて、返信しない
- 対策のあとは、自分で送信して届くかを必ず確かめる
迷惑メール対策の目的は、迷惑メールを減らすことではなく、本物の問い合わせを見逃さないことです。減らしすぎて、大事な連絡まで止めてしまわないようにしてください。